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高く売るために、自走する組織を作ろう!

■業務の委任と組織づくりが大事

 

 

 売れる会社の大切な要素の一つが、「仕組みができていること」です。逆に言えば、仕組みができていない会社は売れません。

 

 しかし、一般的に中小企業は、仕組みがなく、オーナーに依存している組織です。

 

・売上の大半は社長に依存
・社長の指示がないと、社員一人ひとりが自分で考えて動かない
・管理職がいない
・社長が退任したら、他のメンバーも続けて辞めるかもしれない

 

 オーナー会社にはこのような特徴があり、もしオーナー会社を売却するとしても買い手候補が限られてしまいます。キーマン条項が必須になってしまうこともあるでしょう。

 

 会社を売るからには、オーナーに依存する体制から脱却し、社長がいなくても会社運営に支障がでない仕組みづくりを進める必要があります。

 

■自走する組織の必要性

 

 買い手が欲しいのは「自走する組織」です。具体的にどんな組織かというと、売上・利益のほとんどを社長がいなくても作れる組織です。

 

 また、人に依存するのではなく、仕組みで業務が回っている状態。職務権限が明確になっていて、中間管理職がきちんと育っている状態が理想です。 

 

 さらに、定量的な評価基準があり、結果を出している社員がちゃんと報われる組織になっていると良いでしょう。

 

 このような状態になっている組織は、自走しているといえます。自走化した組織を作ることができれば、投資会社やファンドに高く売ることも可能です。

 

 組織自体が自走しているので、業界のことを知らない第三者が引き継いでも、継続的に利益を出し続けられるからです。

 

 自走する組織をつくることで買い手候補の幅は広がります。では、自走する組織にするためには何をすればいいのか。私がこれまで実践してきた施策を、順に説明したいと思います。

 

図表

 

 以前まで私は、専門家を集めたフラットな組織でいいと考え、組織化を意識することはなく、マネージャー職も置いていませんでした。

 

 しかし、会社の売却を決意し、自分はいずれ経営から抜けることを考え始めた時、すぐにマネージャー職を設置しました。

 

 そしてマネージャーには採用と人事評価の権限を与えました。マネージャーの本来の仕事は、「人を使って業務をやらせること」です。「自分で業務をやること」ではありません。

 

 マネージャーにマネジメント業務をやってもらうには、採用と人事評価に関する権限を与え、配下のチームを自分で作らせる必要があると考えたわけです。採用だけでなく、仕事のアサインメントも全部任せました。

 

 採用と評価、業務指示を委譲したら、その先にある人事評価制度も任せる必要があると考え、人事評価制度の見直しをマネージャーに依頼しました。

 

 また人事に関することだけでなく、会社にあるさまざまな課題を、社長ではなく中間管理職に解決させることも必要と考えました。
 そこでマネージャーに対して、会社が抱える課題のリストアップと、解決策の立案を実施してもらいました。

 

 山積する課題を解決する作業はマネージャーだけでは手が足りなかったので、課題ごとにプロジェクトを設置して、プロジェクトリーダーをマネージャーがフォローする体制で進めました。

 

 採算改善、社員の定着率向上など、いろいろなプロジェクトが走り始めました。もちろんプロジェクトの目標達成状況に応じて、きちんと評価をする仕組みも作りました。

 

 また、3年後までになりたい会社の姿を考えてもらい、中期事業計画としてまとめました。中期事業計画の目標数値も、トップダウンで決めるのではなく、できるだけマネージャーを中心に議論させて決めてもらいました。

 

 さらにミッション・バリュー・行動指針を策定しました。30人程度の会社にミッションなどがあっても意味はないと始めは思っていたのですが、策定してみると実はすごく大事ということがわかりました。

 

 例えば何か議論するときに、ミッションやバリューが明確になっていれば、「それはミッションに沿っているのか」「当社のバリューに合うか合わないか」といったかたちで、物事の判断がしやすくなるのです。

 

 ミッション・バリュー・行動指針ももちろんマネージャーが中心となって策定しました。

 

 また、離職率低減プロジェクトのメンバーの発案で、離職率を低くするためにカジュアル面談を始めました。それまで実施していた年1回の上司との面談ではなく、上司ではない人とざっくばらんに話をするという面談です。

 

 慣例となっていた朝礼も見直しました。全社朝礼を月1回にして、後は週次のチーム朝礼を実施するかたちにしています。

 

 コロナ禍で飲み会の開催が厳しくなっているなか、コミュニケーションの活性化を図るために「シャッフルランチ」を取り入れました。普段一緒に仕事をしないメンバーと食事をすることで、横のつながりをつくるいい機会になっています。

 

 こういった取り組みを段階的に実施した結果、社長である私の影響力がだんだんと弱まり、社長中心の組織から、自走化する組織へと少しずつ脱却できたように思えます。

 

 私は組織づくりを専門としているわけではなく、これが正解とはいえませんが、ある程度は参考材料になるかと思います。あなたの会社でもぜひ自走化する組織づくりを目指してください。