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売れる会社、売れない会社のまとめ(Part.2)

■条件2 安定した事業基盤

 

 

 次に安定した事業基盤です。平たく言えば、「さまざまな面で仕組み化ができているか」ということ。

 

 魅力的な顧客基盤があっても、安定して製品・サービスを提供できる仕組みがなければ、経営は安定しません。一方で、仕組み化ができていれば、今の売上・利益が将来的にも継続できるという予測が立ち、買い手にとっては安心です。具体的には次のような特徴を持つ会社が売れやすいといえます。

 

●マーケティングの仕組み
 社長が頑張れば売上が上がる、頑張らないと売上が上がらないという会社は、買い手としては買いづらいです。

 

 反対に、マーケティングの仕組みがきっちりと構築され担当者が変わっても売上を維持できる会社、あるいは鉄板の営業ストーリーができている会社は、予算をいくら費やせばいくらの売上が上がるという予測が正確に立てられるため、買い手にとっては買いやすい会社といえます。

 

●参入障壁が高いビジネス
 参入障壁が高く、新規参入することが難しいビジネスを実現している会社は売れやすい会社といえます。一方で、模倣されやすい製品・サービスしかないと、買い手は将来性に不安を感じてしまいます。

 

●商品・サービスを提供し続けられる仕入れルート、製造ライン
 例えば主要な仕入先が中国企業で、その仕入先との関係が社長同士の個人的なつながりに依存しているのであれば、M&A後も継続的な取引ができるかどうかは不明です。

 

 しかし、取引先との間にきちんとした取引契約が取り交わされていて、条件も明確になっていれば、安心です。顧客に対して継続的に商品・サービスを提供し続けられる体制を構築していると捉えられます。

 

 サービス業の会社なら、サービスの品質が特定のキーマンに依存していて、その人がいなければ回らないようなビジネスは売りにくい。反対に、マニュアルがきちんとそろっていて、誰がやっても一定品質のサービスを提供できる体制を構築している会社は、売れやすいといえます。

 

●内部管理体制がしっかりしている
 これは次のコンプライアンスにもつながります。会社の業務が担当者の独断で行えず適切な管理者の承認ルートが確立している会社では、無駄な出費を抑える体制となっており、従業員による不正も起きにくいことから買い手企業にとって魅力です。

 

■条件3 コンプライアンス

 

 

 三つ目はコンプライアンスです。中小企業の経営者がコンプライアンスを強く意識する機会は少ないかもしれませんが、買い手は非常に気にします。以下のような要素を持っている会社は、コンプライアンスができているととらえられ、売りやすくなります。

 

●法令遵守の姿勢が高い信頼できる社長が経営
 コンプライアンスは日本語で法令遵守という意味。法令・規則を守るという当たり前の意識が欠けている経営者が経営している会社は、買い手としては買いにくいです。買った後にいろいろな問題が出てくるリスクがあるからです。特に上場企業が買い手となる場合には、重視されるポイントです。

 

●適正な経理処理を行っている
 例えば私的な経費を計上している程度なら大きな問題にはなりませんが、社長が率先して粉飾決算を指示しているような状況は、買い手にとって大きな問題です。

 

 社長の経営に対する姿勢を買い手はよく見ています。将来売却を検討しているのなら、普段からコンプライアンス意識の高い経理処理を心がけてください。

 

●労使関係が良好である
 コンプライアンス意識は労使関係にも表れます。労使関係に問題がある、あるいは将来問題が出てきそうな売り手を、買い手が積極的に買うことはありません。

 

 例えば、恒常的に残業が行われているものの残業代が支払われていない、あるいは残業を申請しにくい雰囲気になっている会社の場合、M&Aを機に問題が露見し、未払い残業代の精算で揉めることがあります。

 

 このように労務管理がずさんな会社だと、買い手は、買収後の人件費が高騰しないか、または従業員が大量に辞めてしまわないか、という不安を抱きます。

 

 従業員のために法令やルールを守り、きちんとした仕組みをつくるという意識があれば、労使関係に問題は生じず、買い手に対しても安心感を与えることができます。

 

 続く