チェンジオブコントロール条項のポイント

■通知・承諾を得る時期は?
チェンジオブコントロール条項の内容や注意点についてはすでに何度か説明しました。
最終契約書のなかでもチェンジオブコントロール条項が一つのポイントとなります。例えば「M&Aの実現に当たって、取引先に対して取引継続の合意をきちんと取ること」といった文言が最終契約書に記載されることがあります。
チェンジオブコントロール条項による制限には、「解除事由」「通知義務」「承諾義務」の三つがありますが、このうち「通知義務」「承諾」はどのタイミングで、どのように行えばいいのでしょうか?
通知に対しては、DDが終わり最終契約書を締結してから行うことが多いです。最終契約を終えてもいないのに取引先に通知してしまい、その後ディール・ブレイクになってしまうとかなり格好悪いので、時期を見計らってください。
事前承諾については、その契約の重要性や買い手企業の要求に応じて個別に判断します。
重要な取引先に対しては「最終契約の前」に承諾を取る必要があるでしょう。そこまで重要でない取引先に対しては、「最終契約を締結後」速やかに承諾を取るケースが多いといえます。
●取引先の反応は?
なお事前承諾を取ったり、あるいは通知をしたりした時に、取引先にどのような反応をされるのか、気になる人もいるかもしれません。
実際のところ、支配株主が変わるからといって文句を言ってくるような取引先はほとんどありません。それどころか、むしろ喜ばしいと思われることがほとんどでしょう。
取引相手の小さな会社が大きな会社に買われることで、財務が安定して与信力が高まるというメリットがあるからです。
いかがでしょうか? M&Aの実行フェーズではいろいろと押さえるべきポイントがあります。仲介会社の担当者はあくまで買い手、売り手、双方が顧客になるため、売り手サイドのみが有利になるような契約書のドラフトを用意してくれることはありません。
また経験が浅い担当者がついてしまえば、契約書等の雛型を用意するだけで、細かな条項の意味については丁寧に説明してくれないこともあるようです。
あくまで契約の全責任はオーナーである経営者に帰属するため、最終の契約書締結に向けての交渉は経営者自身が責任をもって行えるように知識を身に着けておきたい所なのです。