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DDに備えて準備すべき資料(Part.1)

■特に重要な資料とポイント

 

 M&Aが交渉フェーズに入りDDが始まると、買い手企業から売り手企業に資料依頼リストが渡されます。

 

 リストに書かれた必要書類が膨大で、用意するのに苦労することもあるでしょう。DDの際に提出が必要となる資料のうち、特に重要なものについて、そのポイントを説明します。

 

●組織図
「組織図なんて作っていない」という会社も多いかと思いますが、買い手サイドにとっては重要な書類です。

 

 買い手が知りたいことは、「誰が責任者で、どういう指揮命令系統になっているのか」そして「実質的なキーマンは誰か」です。

 

 買い手が買った後にそのキーマンが辞めてしまうと、事業継続に支障が出る可能性があるからです。そのような事態を避けるためにも、キーマンの存在や、キーマンが果たしている役割を認識しておく必要があり、その情報の一つとして組織図が必要になるわけです。

 

 組織図がないという会社は作っておくことをおすすめします。

 

 社員数の多い会社であれば、事業部ごとに分けるといったかたちで組織図を作ることができます。少人数の会社の場合は、誰がどの業務を担当しているか、業務分担がわかる図があればいいでしょう。必ずしも、よく見る組織図のように階層化されている必要はありません。

 

 

●就業規則
 ほとんどの会社が就業規則を作っているとは思いますが、行政官庁への届け出をしている会社は少ないかもしれません。

 

 常時10人以上の労務者を使用している使用者は、官庁への届け出が必要なルールとなっています。10人には、パートタイマーや出向者、休職者も含まれます。また、10人というのは会社全体ではなく事業所ごとの人数です。

 

 当てはまる会社・事業所は必ず届け出をするようにしてください。

 

 就業規則の変更時にも届け出が必要です。従業員が増えてから就業規則を変えようとすると、「従業員代表の意見書」が必要になり、そのプロセスを経ることが難しい場合があります。

 

 できれば創業時に従業員代表を決めて、早めに届け出をしておくと、従業員数が10人を超えた時に揉めることは少なくなります。

 

 

●36協定
 残業をさせる可能性がある事業者は、従業員との間に必ず「36協定」を締結する必要があり、労働基準監督署への届け出も必要です。

 

 1人でも従業員を雇っている企業が対象です。事業者ごと、事業所ごとで、原則1年ごとに届け出が必要です。

 

 DDの時にもこの書類の提出が求められます。不明な場合は社労士に聞いて必ず対応してください。

 

 

●労働基準法と労働安全衛生法
 従業員の人数と届け出の関係を一覧にしました(次の表)。非常に重要なのできちんと理解してください。

 

 労働者数が1人でもいれば、「36協定の届け出」の他に、「定期健康診断の実施」も義務づけられています。健康診断を実施せずに、何らかの健康被害があると罰則の対象になったり、訴えられたりする可能性があります。

 

 また、「長時間労働者の面接」も義務づけられています。実際には取り組んでいない会社が多いと思いますが、ルール上は義務です。また要件を満たす方については「社会保険・労働保険の加入」も義務づけられています。

 

 労働者数が10人を超えた場合には、上記に加えて「就業規則の届け出」「衛生推進者の選任」も必須になります。

 

 労働者数が50人を超えた時には、「衛生管理者の選任及び衛生委員会の設置」が必須となります。従業員の誰かが試験を受けて管理者の資格を取る必要があります。

 

 また、労働者数が45.5人を超えたら障害者を1人雇う必要があります。雇っていない場合は障害者雇用給付金を支払う必要があります。

 

 このように細かいルールがいろいろとあり、知らずに義務を怠っているケースは多いでしょう。しかし、これらをきちんと守っていれば、コンプライアンス意識の高さを買い手企業にアピールできます。

 

 この表をチェックリスト代わりにして、自社で漏れている項目がないかを確認してください。

 

 

●株主名簿
 DDでは株主名簿や株主の異動変遷を示す書類の提出が求められます。

 

 歴史の長い会社は特に、株主の変遷がいろいろとあるはずです。その履歴をきちんと残しておく必要があるということです。

 

 例えば次の図のようなフォーマットで履歴を残しておくとよいでしょう。

 

 このように時系列で、「譲受人または譲渡人」「住所」「取得」「譲渡」「現在数」「株式の種類」を、摘要(理由)とともに記録していきます。

 

 株主が亡くなって相続が発生している、あるいは個人間で株式の異動が行われているといった場合も含めて、会社側で履歴を取っておくことが大切です。

 

 ほとんどの会社では、取締役会もしくは株主総会の決議により株式譲渡に関する承認をするというルールになっているので、その際のドキュメント(取締役会議事録や株主総会議事録など)も残しておく必要があります。

 

 

 続く