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経営者が理解するべき財務会計のポイント(Part.2)

■財務諸表の種類と意義

 財務諸表の種類と、それぞれの意義について解説をします。まず、財務会計の前提として、「企業は継続して事業を営む」というものがあります。

 

 大航海時代にどういった会計が行われていたかをイメージしてみてください。

 

 まず船が出航して、どこかの港に着き、そこでしか買えないものを買います。同じようにいろいろな場所を巡った後、帰港し、他国で仕入れた商品を市場で売り、利益を出します。そして、利益を出資者に分配して一つのサイクルが終わります。

 

 現代の会社ではどうでしょうか。会社には継続的に事業を営んでいるため、大航海時代の船のように出航から帰港までのサイクルはありません。

 

 そこで、あえてサイクルをつくるために、人為的に期間を区切ることになりました。その区切りとした日を決算日と呼ぶわけです。

 

 区切る期間は、通常1年、つまり12カ月です。これは税法の決まりで、12カ月以内に決算申告をしなければいけないからです。
 その決算期末の日、「その時点」での財政状態を表示するものが貸借対照表です。

 

 一方、貸借対照表以外の書類は「その期間」の経済活動を表しています。損益計算書は「その期間」での経営成績の状態を、キャッシュフロー計算書は「その期間」での資金の流れを、株主資本等変動計算書は「その期間」での株主資本(純資産)の変動を、それぞれ表します。

 

 

●それぞれの財務諸表はつながっている
 財務諸表にはストックの概念を持つものと、フローの概念を持つものに分かれます。具体的には、貸借対照表がストック、それ以外がフローです。

 

 プールの水に例えるなら、ある時点で貯まっている水がストックで日々の給水(入)・排水(出)がフローに当たります。日々の経済活動はフローであり、その結果蓄積されたものがストックになります。

 

 それぞれの諸表の関係性を示したものが次の図です。

 

 

 損益計算書の「当期純利益」をご覧ください。これは、1年間の活動を経て最終的に残った利益のことで、これが貸借対照表の純資産の部にある「利益剰余金」に加算されます。

 

 つまり、前期末の純資産額に当期純利益を足した額が、当期の純資産額になるということです。

 

 また、前期末の「現金及び預金」の残高が、当期末の「現金及び預金の残高」とつながっています。その増減は営業活動によって生じたものなのか、投資活動によって生じたものなのか、財務活動によって生じたものなのか、原因を集計したものがキャッシュフロー計算書です。

 

 株主資本等変動計算書は、前期末の純資産から、当期末の純資産にかけて、どういう要因(資本金、資本剰余金、利益剰余金)が増減したのか、その変動状況を表すために作成する書類です。

 

■貸借対照表の基本

 貸借対照表の読み方について詳しく説明します。

 

貸借対照表は大きく左右に分かれています。会計用語ではそれぞれ「借り方」「貸し方」と呼びますが、ここではわかりやすく「左側」「右側」と呼びます。

 

 

●左側――資産の部
 まず左側には、会社の所有する資産を集計・表示します。言わば会社の財産目録です。

 

 資産には現金や預金、有価証券、土地・建物などがあります。財産として目に見えるものもあれば、ソフトウェアや営業権など、目に見えない資産もあります。

 

 

●右側――負債・純資産の部
 右側には、負債と純資産を集計・表示します。

 

 負債とは、他人から調達したお金のこと。いずれ返済しなければならないお金です。銀行借入金や社債がこれに該当します。

 

 負債はさらに、流動負債と固定負債に分かれます。固定負債は、返済期日が1年以上のものを指します。それ以外のものは流動負債です。

 

 純資産には、株主から調達したお金である資本金や、事業を通して蓄積された利益の額を表示します。

 

貸借対照表の右側を見ると、企業で使われる資本をどのように調達しているかが分かります。そして、それが「他人のもの」なのか、「自分(株主)のものなのか」が分かります。

 

 他人のもの(借入や社債)であれば、いずれ返済する必要があります。利益であれば株主のものなので、返す義務はありません。

 

 続く